アンセットはリージナルド・アンセット氏により1936年に設立された。 最初はメルボルンとハミルトンを結ぶ便のみだった。 戦後保有機材を拡大し路線も拡大し1957年にはオーストラリアナショナル航空と合併した。 一時は大阪や香港などの国際線も就航しロサンゼルスや東京などへ路線を拡大させることも視野に入れていた。
経営面ではニュースコープのルパード・マードック氏により購入された。 その後2000年にはニュージーランド航空により100パーセント所有となるがニュージーランド航空も経営難に陥っていたため見捨てられてしまう。
去年の9月に経営難で運行を停止したが再開買い手を捜していた。一時はリンゼイ・フォックス氏とソロモン・リュー氏による購入が上がったが2月末にターミナルや航空機のリースの問題でこの案も合意に至らず今回の倒産となった。
リージナルド・アンセット氏は天でどう思っただろうか? 白紙から作り上げた自分の航空会社が運行を取りやめてしまうとは。
アンセットの倒産は単純でない。 理由としてあげられるのはたくさんある。 まず機体の種類が多かったこと。 機体の種類が1機増えればパイロットと客室乗務員のトレーニング、スペアパーツ、整備士などなど機体以外にも投資をしなくてはいけなくなる。 そのため必然的に運行費も高くなる。 また機体が古かったのも原因。 古いということは燃費もかさむ。 膨大な燃料を消費する航空機にとって燃費は大きい。 しかし資金がなく航空機を購入できなかった。
そしてニュージーランド航空に見捨てられたこととライバルのバージンブルーを購入しようとしたが失敗したこと。 アンセットは2億5千万ドルでオーストラリア国内線のバージンブルーを買うことを提案した。 バージンブルーは格安航空会社のためアンセットも価格を下げることを余儀なくされていた。 このバージンブルーを買うことでカンタスと一騎打ちとなり値段を上げることが出来るからだ。 しかしバージンブルーはあっさりとことわった。 リチャード・ブランソン氏はいくらお金を積んでもバージンブルーを売却することはないと断言した。 これが最後のチャンスだった。
さらに言えば問題は2000年のクリスマスから2001年にかけて3回も主力機である767-200を運行停止したことだ(コラム"2001年1月 アンセットの相次ぐ問題" を参照)。 運行停止の理由は整備が規則どおりに行われていなかったことだがこれを聞いた乗客がまたアンセットを利用するはずがない。 航空業界は世界でも"安全"を最優先にする業界。 部品1つが抜け落ちても何百人が死亡する重大事故につながる世界。 そのような現状で安全性を確保できない航空会社に乗る人がいるだろうか? このような出来事のおかげで利用客は離れるばかりとなった。
今回のリンゼイ・フォックス氏とソロモン・リュー氏による購入が失敗に終わったのは航空機の多くがリースだったこと。 リースということはリース元が使用許可をしなければ利用できない。 以前毎日130万ドルも損失していた航空会社にリース元がこの許可を出すことは難しい
アンセットの名前は将来よみがえるかもしれない。 しかしまったくべつのものとして。 今の状況で運行を続けるのは不可能だから。 これほどまでに愛された航空会社はないのではないか。 安全性で言えば世界でも有数だった。 そのような会社の最後を見ることになるとは。