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アンセットの危機
アンセットオーストラリア航空。 オーストラリア第2の航空会社で国内線ネットワークはカンタス航空をしのぐ。 そのアンセットが危機に陥っている。 かつては国際線も多く運航していたがいまでは大阪と香港線のみ自社運航であとはコードシェア。 

この危機の始まりは去年だった。 去年のクリスマスから今年にかけて3回も主力機である767-200を運行停止した。 (コラム"2001年1月 アンセットの相次ぐ問題" を参照)

このような出来事のおかげで利用客は離れるばかり。 いまでは一日に130万ドルを損失しているという。 しかしアンセットが危機に陥ったのはこれだけではない。 確かにこれも一因かもしれないが大きな原因はニュージーランド政府の決断の遅れではないか。 
アンセットを100パーセント所有するニュージーランド航空は以前から資金不足を訴えていた。 アンセットの機材を新しくするには50億ドル必要となる。 このような資金をすぐに集めるには株式を売却することが一番早い。 そこですでにニュージーランド航空の25パーセントを所有するシンガポール航空が49パーセントまで購入することに名乗りをあげた。 このときの1株ごとの購入額は1.31NZドルだった。
しかし政府からの許可は下りなかった。 これはニュージーランドを代表する航空会社が49パーセントを所有することとなるシンガポール航空に経営権を奪われるのではないかという政府の懸念だった。 この決断も予定より遅い発表となり負債は増えるばかり。 なんといっても一日を争うのだから。 政府はニュージーランドを代表する航空会社としてのアイデンティティを守るためだけに大きなミスを犯したのかもしれない。 シンガポール航空の最高経営責任者も早い決断が必要とコメントしている。 さもないとアンセットがつぶれることもあり得る。 まだ政府は51パーセントを所有できるのだからさらに傷が深くなる前に対応すべきではないのか? これからこの状況でアンセットの経営状態が向上することはまったくないといっていい。 それよりむしろこのような話題になったため利用者が激減する可能性のほうが高いのだ。

この決定を受けたニュージーランド航空は2億5千万ドルでオーストラリア国内線のバージンブルーを買うことを提案した。 バージンブルーは格安航空会社のためアンセットも価格を下げることを余儀なくされていた。 このバージンブルーを買うことでカンタスと一騎打ちとなり値段を上げることが出来るからだ。 しかしバージンブルーはあっさりとことわった。 リチャード・ブランソン氏はいくらお金を積んでもバージンブルーを売却することはないと断言した。 (コラム"2001年9月 バージンブルーの決断" を参照)

このような状況を受けてシンガポール航空はニュージーランド航空の株を買わないこともあり得るとコメント。 これに対しニュージーランド航空は株購入額を30セント下げるという決断にでざるおえなかった。 これによりシンガポールからの資金も減ることになる。

これからどうなる?

ニュージーランド航空に残されたオプションとしては下記である。

1.政府を納得させシンガポール航空の購入の許可を受ける。 これがもっとも可能性があり最善策といえる。 シンガポールはニュージーランド航空の株を購入したい意向を示しているし30セントも値下がりした今買って損はない。 ニュージーランド航空としてもこの売却により資金を得られる。 ただ政府が許可をするかどうかが難点といまの状況でこの売却だけではアンセットの機材購入の資金50億ドルを集められないのが現状。

2.シンガポール航空がニュージーランド航空の株を買う代わりにアンセットを購入するしニュージーランド航空の株をカンタスが購入する。 シンガポール航空は政府の支援もありさまざまな事業に投資をしている。 利益も不況の中世界一とってもいい。 そんなシンガポール航空が利益が無く機材を新しくするために50億ドル必要な航空会社を買うことにどれだけ利益があるのか? これは明らか。 それなら間接的に資金援助するほうが被害も少ない。 またニュージーランド航空の株購入額は現在1ドルまで下がったのだし。 カンタスがニュージーランド航空の株を購入することは最高経営責任者のコメントからも可能性はある。

3.シンガポール航空がニュージーランド航空の株を買う代わりにアンセットを購入するしニュージーランド航空の株をバージンブルーが購入する。 これは多少可能性があるともいえる。 バージンブルーの親会社のバージン・アトランティック航空の株はシンガポール航空が49パーセント所有している。 つまりシンガポール航空はオーストラリアを手中にニュージーランドを提携により獲得できることとなるからだ。 シンガポール航空がアンセットを再建することは可能。 だがリスクが大きいのが難点。 

4.政府の介入。 この場合はオーストラリア政府となる。 税金から50億ドルをだし資金提供をする。 このオプションは3番までが不可能になった際に実行されるはず。 オーストラリア経済にとってアンセットが倒産することは利益でない。 アンセットだけで1万6千人の従業員がいるからだ。 これに関連企業を換算するとダメージは大きくなる。 さらに連邦選挙が近くなったこの時期にこのような大企業の倒産を見て見ぬふりをするとは考えられない。 

この危機はまずアンセットの整備体制のミスにより旅行客の信頼を失い、バージンブルーやインパルス航空などの参入により運賃値下げを余儀なくされたことが大きい。 しかしニュージーランド政府の決断の遅さがこの危機を加速させたのは疑いの余地がない。 シンガポール航空はかなり前からオファーをしていたからだ。 理由はどれにしろアンセットがいなくなることで被害を受けるのは従業員と利用客。 カンタスとバージンブルー2社になればバージンブルーも吸収される可能性が高くなる。 そうなればまた"航空運賃=高い"時代に逆戻りしてしまうからだ。 政治的な理由などもあるがなんとか生き残って欲しい。

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